みちのく潮風トレイルで自然を楽しもう!蕪島神社・葦毛崎・種差海岸
三方を海に囲まれた青森県では海が見える景色はそう珍しいものではありませんが、短い距離のなかでさまざまな景色を魅せてくれる種差海岸は一味違います。自然豊かで風光明媚な種差海岸を散策しに出かけましょう。
蕪嶋神社で運開き
ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている蕪島(かぶしま)は、繁殖の様子を間近で観察することができる国内唯一の場所として有名です。毎年3月上旬頃に蕪島に飛来するウミネコは、4月頃に産卵をはじめ、6月頃にはヒナがかえります。そして8月頃には蕪島を旅立っていくそう。5月には、一面菜の花に包まれた蕪島とウミネコが見られますよ。
蕪嶋神社の社殿は蕪島の頂上にあり、長い階段を上ります。商売繁盛、漁業安全の守り神として古くから地元の人々の信仰を集めてきた蕪嶋神社は、2015年に火災によって社殿が全焼してしまいましたが、約5年のときを経て再建されました。
蕪島の頂上にそびえる、蕪嶋神社の立派な社殿。社殿の周辺はウミネコたちの住処であるため、鳴き声もにぎやかです。
蕪嶋神社の社殿の周りはぐるりと1周できるようになっていて、「運開きめぐり」ができます。島を3周まわって参拝すると心身が祓い清められ、運が開けるというものです。3周もまわったら景色に飽きてしまいそうですが、意外とそんなことはありません。岬の突端にある蕪嶋神社は、八戸市街や工業地帯などが一望できるため、景色だけでも十分楽しめるほどです。
蕪嶋神社の裏側にまわり、よくみると眼下にある7つの岩にしめ縄がされているのが分かります。これらの岩は七福神が宿ると言われていて、対岸から蕪島を見ると七福の神々が大きなひょうたん型の宝船に乗って港から出港するように見えるそうです。蕪島を1周する道の途中にも七福神の像があり、運開きの気持ちが高まります。
また、社殿の前には蕪島にちなんだ「かぶ」と「ひょうたん」の像が置いてあります。蕪島の名前にもある「蕪(かぶ)」と、蕪島を遠くから見たときに「ひょうたん」が横たわって海に浮いているように見えることから「ひょうたん」だそうで、参拝客はこれらの像からご利益を得ようと撫でていきます。
株価と人望の「かぶ」が上がる「かぶあがりひょうたん御守」、愛情の「かぶ」が上がり恋が実る「恋かぶ守」など、蕪島にちなんだお守りも豊富です。パワースポットの蕪嶋神社でしか見られない景色と運開きを体験してみませんか。
旅人メモ:ポケモンマンホールを見つけよう
蕪島海浜公園には、ポケモンがデザインされたマンホール蓋「ポケふた」があります。「ポケふた」はそれぞれ、世界に1枚しかないオリジナルデザインだそうで、青森県には東日本大震災の復興支援の一環として寄贈された「ポケふた」が八戸市・階上町に1枚ずつあります。
八戸市に設置された「ポケふた」は、うみねこポケモンの「キャモメ」が、いわて応援ポケモンである「イシツブテ」の上空を舞うデザインです。
みちのく潮風トレイルでは、ぜひ「ポケふた」巡りも楽しんでみてくださいね。
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葦毛崎~中須賀~大須賀で、海岸沿いの自然に触れる
「みちのく潮風トレイル」は、青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐ、全長約1,000㎞ものロングトレイル。トレイルとは森林や原野、里山などにある「歩くための道」のことです。みちのく潮風トレイルの大部分は三陸復興国立公園にも指定されていて、海岸沿いの絶景を楽しみながら散策できるんです。
蕪島を起点に葦毛崎展望台、中須賀、大須賀、種差海岸と南下していく八戸市ルートは、起伏のある岩礁や白い砂浜、美しく生い茂る天然芝生と変化に富んだ絶景が続きます。
西洋の砦のようなかたちをした葦毛崎展望台は、美しい太平洋を一望できる種差海岸随一のビュースポット。周辺にはごつごつとした崖や岩場があり、風が強い日には激しく波が岩にぶつかることから、八戸小唄では「鮫の岬は湯けむり…」という歌詞もあるほど。景色が白んで見えるほどの激しい波ということですね。
葦毛崎展望台から伸びる遊歩道を数分歩くと目の前に広がるのが中須賀です。緩やかな起伏のあるこの辺りは「花の渚」と呼ばれ、海浜植物と高山植物の両方が観察できる、種差海岸で最も野草が見られる場所。たくさんの草花に囲まれながら遊歩道を歩くことができます。
初夏の遊歩道沿いにはハマヒルガオやスカシユリ、ニッコウキスゲ、ノハナショウブなど、まさに花盛り!街なかでは見られないようなさまざまな植物が間近で観察できるのは、全国的にも珍しいそうです。種差海岸で見られる植物はなんと600種類以上!時期によって見られる植物も変わるので、何度訪れても楽しめますよ。
中須賀を抜けると植物に囲まれた景色は一変し、目の前には砂浜が広がります。大須賀海岸は約2.3㎞続く真っ白な砂浜で、「日本の渚100選」に選ばれているんです。大須賀海岸の砂浜は、踏むとキュっとなる「鳴砂(なきすな)」の浜としても有名。砂に不純物が少ない、きれいな砂浜だから「鳴く」そうですよ。
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アクティビティも充実!種差天然芝生地
大須賀海岸に続く白浜海水浴場、松の並木が広がる「淀の松原」を横目に通り過ぎて南下すると、美しい芝生と青い海、青い空のコントラストが美しい種差天然芝生地が見えてきます。
なだらかな起伏に天然芝生が広がる景色は、どこまでものどか。まるで日本ではないどこかの国のようです。広大な芝生の上に寝転がると、視界いっぱいの青空と波音のBGMが聴こえてきます。大地を感じながら癒される至福の時間です。
種差天然芝生地からさらに海岸へ近づくと、草木が腰丈ほどまで生い茂ります。ごつごつした岩場もあり、視線を南側へ向けると砂浜も見えます。少し視界をずらすだけでこんなにも多様な景色が見られるのは、種差海岸だけではないでしょうか。
種差天然芝生地の目の前には「種差海岸インフォメーションセンター」があります。ここでは三陸復興国立公園・種差海岸、階上岳地域を中心とした自然や文化について展示されているほか、デイキャンプや芝生の上でのヨガなど、種差海岸周辺で気軽に楽しめる体験プログラムも案内しています。
時期によって変わるみちのく潮風トレイルの見どころを詳しく教えてくれるので、情報収集に立ち寄ると便利ですよ。
種差海岸インフォメーションセンター内で受付すれば、自転車をレンタルすることができます。ロードバイク、クロスバイク、電動アシスト自転車など種類も豊富なので初心者でも安心。歩くには長距離に感じてしまう種差海岸を満喫するのに、自転車は手軽でぴったりです。潮風を感じながらサイクリングを楽しめるのは種差海岸ならではですね。
時間帯によってさまざまな表情を見せてくれる種差海岸。あえて時間をずらして、太平洋に沈む夕陽を眺めに行くのもおすすめです。
旅人メモ:洋酒喫茶「プリンス」のカクテル
八戸市の長横町れんさ街にある老舗バー「洋酒喫茶プリンス」では、八戸三社大祭やえんぶり蕪島、種差海岸など、八戸にある郷土芸能や地名をイメージして作られたオリジナルカクテルが人気。
みちのく潮風トレイルをモデルにしたカクテル「汐風トレイル」は、ジンベースに赤いグレナデンシロップで“日の出”、ブルーキュラソーで“海”を表しているそう。真ん中にある“太陽”はうずらの卵で、まさに種差海岸からの絶景のようです。
お店は路地にあり一見入りにくい雰囲気ですが、観光客も多く訪れる穴場スポットです。八戸の景色をカクテルでも楽しめますよ。
【基本情報】
【基本情報】
タレントで青森出身の王林さんが「八戸は青森のハワイ」と話すように、夏の種差海岸にはどこまでも続く真っ白な砂浜、たくさんの草花、そして青い空と青い海…盛りだくさんの魅力があり、さまざまな切り口から楽しめます。種差海岸で過ごす青森の夏を、ぜひ満喫してくださいね。